吐き気,嘔吐がある

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吐き気、嘔吐がある
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 ★ 吐き気や嘔吐の特徴

 いろいろな症状の中で、吐き気や嘔吐は非常に特異な、それだけにまた重要な症状です。

 特異な第一の点は、質においても重さにおいても全く違う病気に、この症状が共通にあらわれる場合があるということです。たとえば二日酔いとつわり、食中毒と急性虫垂炎、乗物酔いと脳腫瘍…これらはすべて、吐き気や嘔吐を起こしますが、一見してわかるように、それぞれはたいへん異質な上記です。
 
 特異な点の第二は、なにか他におもな病状があるとき、吐き気や嘔吐もあるかどうかで、ある病気についての考え方が変わってくる場合があることです。たとえば、右の下腹部が痛むとします。熱も吐き気もなければ、比較的単純な腸の病気と考えてよい場合が多いでしょう。
 
 ところが、もし仮に熱や吐き気があれば、虫垂炎などが問題になります。つまり、手術を考えなければならないかもしれません。あるいはまた、めまいがするとします。めまいだけならば非常に漠然として、それだけでは考えを進めることができません。

 しかし、めまいとともに吐き気や嘔吐があれば、内耳の平衡器官、またはそれと関連する神経や脳の領域まで広げて原因を考えなければなりません。

 ★ 吐きけや嘔吐の起こるしくみ

 吐き気や嘔吐も、その本来の意味は、せきと同様に、自己防衛的なものと考えてよいでしょう。つまり、胃の中に有害な物が紛れ込んだときに、不快な刺激が 起こって(吐き気)、それを外に放り出してしまう(嘔吐)のです。
 
 このことのおかげで、胃は危害から免れることができるのです。嘔吐は一種の反射現象で、 胃が受けた刺激は、胃に分布する神経(おもに自律神経)によって、延髄にある嘔吐中枢につたえられます

 。嘔吐中枢は、胃からの刺激をキャッチすると、直ち に嘔吐に関与する筋肉に命令を下して、胃から食道を通って口に向かって逆噴出を起こさせるのです。

 ところが胃からの刺激ではなく、ちょうど、せきの場合、気管や気管支に来ている神経が分布する他の領域(たとえば胸膜)の刺激によっても、せきが誘発されると同じように、吐き気や嘔吐も腹膜の刺激によって起こることがあります。

 吐き気や嘔吐の問題を特に複雑にしているのは、嘔吐中枢が、胃や腹膜などにきている腹部の神経と連係するだけでなく、別の神経領域とも重要なかかわり合いをもつからです。 というのは、嘔吐中枢は内耳にある平衡器官や、小脳の平衡機能の中枢と密接につながり、それらに起こる出来事の影響も敏感に受け取るからです。

それともう一つ、嘔吐中枢自身、ある種の刺激を直接感受する働きがあるのです。それは、脳の内圧が高くなったときと、血液中に毒性物質が流れ込んだときです。嘔吐中枢は、自身でそれらの刺激を感受して嘔吐を起こします。
 
 以上の事を整理してみると、吐き気や嘔吐のしくみは次のようになります。

@ 胃や腹膜などの腹部のしくみ
A 内耳の平衡器官や小脳の平衡中枢の病気
B 脳の内圧が高くなる病気
C 血液中に毒性物質が出る病気

 これらに加えて、心理的な要因も重要です。極端にいやなことを「吐き気を催す」といいます。事実、残忍なものを見たり、嫌いなものの写真を見たりしただけで、吐き気を催すことがあります。

 ★ 吐き気や嘔吐の病気

 腹痛を伴う吐き気、嘔吐

  発熱と腹痛がある
 吐き気に熱と腹痛が伴っているときは、たいへん重要です。胃の病気では、あまり熱が出ません。熱の出るおもな病気は、虫垂炎(はじめは上腹部、のちに右 下腹部が痛む)、胆嚢炎(右上腹部が痛む)、膵炎(みぞおちから左の肋骨の左辺にそって痛む)、急性腹膜炎(激しい腹痛)、などがあります。そのほかに細 菌性食中毒でも、吐きけ、嘔吐に発熱と腹痛が伴います。

  熱はなく腹痛がある
 
たいていの胃の病気では、吐き気や嘔吐を起こします。急性胃炎(みぞおちの鈍い痛み)、胃潰瘍(食後まもなく腹 が痛む)、十二指腸潰瘍(空腹時に腹が痛む)、胃がん(よほど病状が進まないと症状はあらわれない)などでは、吐き気や嘔吐とともに、胃の痛みあるいは重 圧感があります。

 はげしい腹痛があるときは、腸閉塞、胆石症、腎結石が疑われます。そのほかに、回虫症で回虫が胃や腸、胆道などに迷い込んだときにも、腹痛と吐き気、嘔吐が見られます。

 頭痛を伴う吐き気、嘔吐

 頭痛に吐き気や嘔吐が加わっているときは、決して軽く考えてはいけません。

  発熱と頭痛がある
 急に熱の出る病気で、同時に頭痛と吐き気、嘔吐を伴うときは、流行性髄膜炎、結核性髄膜炎、それに日本脳炎などが疑われます。

  熱はなく頭痛がある
 発作的に、突然はげしい頭痛と吐き気や嘔吐が起こったら、まっ先にくも膜下出血が考えられます。それほど急な発作ではなく、頭痛、眼痛、吐き気、嘔吐が目の病気で起こることがあります。

 緑内障がそれです。電灯のまわりににじが見えたらこの病気特有の症状です。ときどき間をおいては激烈な頭痛が起こり、それとともに吐き気や頭痛があったら脳腫瘍が考えられます。

 偏頭痛では、頭の片隅が脈打つような頭痛が起こるのが特徴ですが、同時に必ずといってよいほど吐き気がおこります。吐き気はだんだんひどくなり、ついに はどっと嘔吐します。たいていは一回の嘔吐でおさまります。このような症状は、1〜2ヶ月に1回、あるいは1年に数回、発作的におこります。

 症状に伴う吐き気、嘔吐

  発熱と食欲不振がある
 吐き気、嘔吐とともに、このような症状がある場合には、急性肝炎、急性膵炎が考えられます。

  急にまわりがぐるぐる回るようなめまいがある
 このようなめまいとともにはげしい嘔吐が起こったら、メニエール症候群が考えられます。この病気は、内耳の平衡器官の病気です。メニエール症候群は内科 でも取り扱いますが、おもな専門は耳鼻科です。しかし、類似の症状が平衡を支配する小脳やそれらの連絡路の病気などでも起こりますので、場合によっては、 神経内科の専門医にも相談する必要があります。
 
  めまいや耳鳴りがある
 吐き気や嘔吐のほかに、めまい、頭痛などがあるときは、一酸化炭素中毒が考えられます。また、乗り物酔いや高山病でもめまいや耳鳴りがありますが、船を下りたり山から下りたりするとすぐによくなります。

  下痢や便秘がある
 吐き気とはげしい下痢のある場合は、食中毒が考えられます。腸閉塞では、はげしい腹痛、吐き気とともに便秘がみられます。
 

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